NPO法25周年・いま「新しい公共」を改めて考える~ご意見を集めています~

企画提案者:NPO法25周年・いま「新しい公共」を改めて考える会

1998年施行されたNPO法(特定非営利活動促進法)は2023年に25周年を迎えた。その間幾らかの問題を含みながらもそれなりに成長してきた。25年を経たいま、当初の目的は達成されたといえるか、課題として残されていることは何か、25年の間に変化を遂げた社会の変遷にうまく対応できているか、対応しきれていないとすればどうすればよいか、について改めて考えてみようと思う。皆様からもご意見をお寄せいただきたい。メールにて次のアドレスまでお願いします。 y.moriguchi3719@gmail.com

 

●「新しい公共」の始まりはNPO法の制定にあります。「公(おおやけ)」とは何か、これを決める権限は、国(自治体を含む)にあって、市民(国民という言葉は使いません)はそのサービスの受け手と捉えられていて、市民自らが「公」の担い手になることは考えられていませんでした。NPO法は定められて要件を満たす(難しい要件ではありません)市民団体に「公」の担い手になる環境を整備したという点で、まさに画期的だったといえますね。それでNPOが担う「公」を国の従来の「公」とは区別して「新しい公共」と呼ぶようになったと理解しています。

●日本で法律がつくられ、一定の条件を備えた(難しい条件ではありません)NPOに法人格を与え社会的な信頼度を高めて活動がしやすい環境が整備されました。これはボランティアや寄付の先進国アメリカで実施されていたNPO支援を30年遅れで日本にも導入したものでした。国がそのような政策を立てた背景にはある事情があったといえます。その事情というのは、将来多様化が進むと考えられる日本で、国民の新しいニーズを満足させるだけの資金源(財源)が不足するであろうという見通しでした。具体的には高齢化社会がやって来る、少子化が進むとともに子育てに関する社会的ニーズが増えてくるという、という懸念でした。

●このような将来の懸念に対して国は国民の協力なくしては乗り切れないと判断したといえます。まず、自助(自分のことは自分で)、そして共助(お互いに助け合う)、そのうえで民間のみではどうしょうもない、解決できない課題については公助(国や自治体が援助する)という図式を描くことにしました。「新しい公共」は自助および共助はもちろん、場合によっては公助の一端を国民が担うということなのです。この考えを発展させるには新しい社会基盤が必要であり、NPOはその使命をもって生まれたのです。

●NPO法が施行されて、法人の設立は順調に増えていきました。メディアでもNPOの記事が増え、「今日は新聞にNPOという単語がいくつ掲載された」というような数読みが行われたりしました。こうして期待を持って生まれたNPOですが、今から振り返ってみると初期段階で周知不足であったと思われる2つの点を指摘しておきたいと思います。ひとつはNPOは文字通りNon Profit Organizationで、非営利の活動であるという認識です。この場合の「非営利」の意味するところの周知に不足がありました。

● 「非営利」に対する単語は「営利」ですが、資本主義社会は文字通り「営利」を追求する競争によって社会が発展するという考えに基づいています。その中で「非営利」というと利益を追求してはいけない、他との競争も歓迎することではない、というように考えることになります。自分たちの活動に対して対価や報酬を求めるのは「非営利」ではないのではないか。ボランティア(無償)で社会貢献することが求められている。それがNPOのあり方だ、と考えるようになります。しかし「新しい公共」の担い手とはいえ、雲や霞を食って生きていくことはできないのであって、どうすれば良いのか、という疑問が湧いてきます。

● しかしNPO法は、この法律により設立された団体に収益をあげる活動を禁じているわけではありません。何をもって「非営利」とするかは得た収益をあくまでも自分たちの活動(定款において活動の目的・分野を定めています)に使う、ということが必要であって、例えば株式会社(資本主義における典型的な団体)のように得た収益を株式配当のように他に配分することは認めない、というのが「非営利」の意味するところなのです。NPO設立の当初、この認識が十分周知されず、NPOが収益を得ることに対して一種の罪悪感が醸成されてしまったのが、今から思うとしくじりであったように思われます。

●さらにNPO法によって設立した法人が収益事業を営むこともできるようになっています。収益事業というと「非営利」からかけ離れた存在のように思われ、当時NPO法人は収益事業にある種の距離を置く風潮がありました。また現実にNPOが収益事業を営むといっても何をすればよいのか、儲かることが見通せる事業であればなにもNPOにしなくても株式会社をつくればよいわけです。そうしたことからNPO法人の多くは収益事業に手を出すことに慎重でしたし、むしろそうしないのがNPOだ、という考え方が強かったといえます。しかしこのことはその後のNPOの発展・成長の足かせになります。NPOの活動に携わる人々の人件費はどうするか、という大切な問題が浮上します。そこに「有償ボランティア」という現象が現れてきます。