セミナー『未来世代と考える「持続可能性×仕事」~CO2ネットゼロ時代の事業経営のあり方とは』
企画提案者:(一社)滋賀グリーン活動ネットワーク
新型コロナウィルス感染症によるパンデミックと気候危機に直面した現代、 CO2ネットゼロ社会の実現やSDGsの達成には、これまでとはまったく違った 発想が必要とされています。SDGs達成年度でCO2ネットゼロ中間目標年度の2030年まであと8年。その頃に 中心となってマーケットを担い社会を動かしていくであろうZ(ゼット)世代は、 デジタルネイティブであると同時に幼少時から環境学習を積み重ねており、 現在の働き世代とは異なる価値観や指向を持っています。新たな価値観や 行動様式を持つ彼らを理解することは、次の時代に市場の勝者となるために 欠かせないとも言えます。
今回のセミナーでは、「未来世代」の若者たちと「働き世代」の企業人が 『CO2ネットゼロ』を切り口として意見交換を行います。新しい時代に必要と される事業経営とは何なのか?双方の能力と感性を活かした持続可能な未来を 創造していくためのヒントを掴んでください。 お手元のPC、スマホから、ぜひお気軽にご参加ください。
【日 時】2022年3月16日(水)13:30~15:30
※Zoom利用のオンライン・セミナー
【参加費】SGN会員・GPプラン滋賀登録者:無料 一般:1000円
※会員企業・団体から、何人参加されても無料です。
【主 催】(一社)滋賀グリーン活動ネットワーク(SGN)連携推進部会
【後 援】滋賀県・滋賀県地球温暖化防止活動推進センター
【定 員】70名 【申込締切】3月14日(月)
【プログラム】
・ディスカッション「未来世代と考える2050年CO2ネットゼロ社会」
◆未来世代からの活動報告◆
立命館大学3回生&(一社)インパクトラボ 理事 豊田 真彩さん
Fridays For Future Shiga 玉崎 蕗さん
くさつFarmers’Market発起人 内田 修次さん
アインズ(株)企画チームfrau(フラウ) 寳田 萌花さん
◆働き世代からの企業紹介◆
(株)滋賀銀行 サステナブル戦略室 室長 嶋﨑 良伸さん
たねやグループ 経営本部 リーダー 木田 幸司さん
(株)コクヨ工業滋賀 開発グループ 次長 岡田 佳美さん
〈コーディネーター〉
くうのるくらすの創造舎 主宰 南村 多津恵さん
(特非)碧いびわ湖 代表理事・SGN理事 村上 悟さん
----------------------------------------------- 【パネリスト・コーディネーター プロフィール】 -----------------------------------------------
■未来世代■
・豊田 真彩(とよた まあや)さん
立命館大学食マネジメント学部3回生・(一社)インパクトラボ 理事。 2019年4月食マネジメント学部に入学。“食”への興味からくらし、 コミュニティ、農、教育、まちづくりなど幅広いテーマにも関心を 持つ。昨年度1年間の休学を経て4月から3回生。大学1年生の頃から 課外活動を通してSDGsに関連した活動にも関わっている。
・玉崎 蕗(たまさき ふき)さん
Fridays For Future Shigaメンバー・フリースクールスタッフ。 高校卒業後、「学校の外にも学びの機会がたくさんある」という想いから、大学進学という道を選択せず、海外でドイツでのワーホリをはじめとする様々な体験の4年間を過ごす。ヨーロッパを旅する中、気候変動問題に取組む若者たちと出会い、問題の深刻さと行動することの重要性を知る。滋賀に帰ってからは、Fridays For Future Shigaのメンバーとして社会と政治の両方に働きかける活動を行う。同時に、小学校の教員免許を取得し、子どもと関わる仕事にも従事する。現在は、学校以外の学びの場づくりとして、フリースクールの活動を行っている。
・内田 修次(うちだ しゅうじ)さん
くさつFarmers' Market 発起人。 立命館大学スポーツ健康科学部に在学中、2年間大学を休学し、NZやU.S.Aに滞在。滞在先の各国で開催されていたファーマーズマーケットに惹かれる。復学後、自然にも人にも優しいオーガニックがスタンダードな社会に生きたいという想いから、くさつFarmers' Marketを立ち上げる。 2020年3月に大学を卒業し、2020年4月~東京のベンチャー企業へ新卒入社。 約1年半働いた後、くさつFarmers' Marketに注力するために退職。現在は 実家の宇治と、東近江市のだれんち(今年6月よりゲストハウス開業予定) の2拠点生活をしながら、くさつFarmers' Marketをアップデート中。
・寳田 萌花(ほうだ もえか)さん
アインズ株式会社 企画チーム frau(フラウ) クリエーター。 2019年、光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科を卒業後、アインズ株式会社に入社。女性ならではのアイデアと企画力、発信力を強みとした女性企画チーム「Frau(フラウ)」のクリエイターとして、食べられるメモ帳「kamihime」の開発・デザインを担当。消費者目線・感性でアイデアをプラスし、「日常を少し便利に、かわいく彩る。」をコンセプトに企画立案・商品開発に取り組んでいる。
■働き世代■
・嶋﨑 良伸(しまざき よしのぶ)さん
(株)滋賀銀行 総合企画部 サステナブル戦略室長兼サステナブル推進グループ長 1990年に滋賀銀行に入行。「しがぎんSDGs宣言」「サステナビリティビジョン」「サステナビリティ方針」の起案に携わる。
・木田 幸司(きだ こうじ)さん
たねやグループ 経営本部 リーダー 2000年に株式会社たねや入社。物流部門、購買部門を経て環境関連の仕事に従事し現在に至る。SGN食のグリーン購入研究会リーダー。
・岡田 佳美(おかだ よしみ)さん
(株)コクヨ工業滋賀 開発グループ 次長 2002年入社。自社オリジナルブランド「KPSコピー用紙」「びわ湖・淀川水系のヨシからできたエコ文具ReEDEN(リエデン)シリーズ」の企画開発を担当。滋賀県立琵琶湖博物館協議会委員。
■コーディネーター■
・南村 多津恵 さん
くうのるくらすの創造舎 主宰 環境カウンセラー、市民活動・環境学習コーディネータ、会議ファシリテータ。1997年COP3(地球温暖化防止京都会議)の頃から気候変動問題に取り組み、キャンペーン活動や人材育成、教材制作などに携わっている。
・村上 悟 さん
(特非)碧いびわ湖 代表理事・(一社)滋賀グリーン活動ネットワーク理事 幼少から自然環境に関心を持ち、気候変動問題には学生時代から向き合ってきた。せっけん運動を引き継ぐNPO碧いびわ湖の代表として、人々の協同自治による、循環型の暮らしと地域経済づくりに取り組んでいる。
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※詳細は、次のURLから https://www.shigagpn.gr.jp/news/170
※参加申込(〆切:3月14日)は、次のフォームから ■申込フォーム:https://forms.gle/zLdjDLfA9xPUoyMW7
※お問合せはSGN事務局まで TEL:077-510-3585 FAX:077-510-3586 Eメール:sgpn☆oregano.ocn.ne.jp(☆を@に変えてください)
エシカルソングが聞けます!
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◆♪「グリーン購入+エシカルde未来よし」(Youtube)↓
https://www.youtube.com/watch?v=jeTuomE94Zw&feature=youtu.be
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セミナー『未来世代と考える「持続可能性×仕事」~CO2ネットゼロ時代の事業経営のあり方とは』【活動報告】
聴講者からの投稿です。
滋賀グリーン活動ネットワーク Zoom オンラインセミナーに参加して
令和4年3月16日(水)、一般社団法人滋賀グリーン活動ネットワークの研究会連携セミナー「未来世代と考える『持続可能性×仕事』CO2ネットゼロ時代の事業経営のあり方とは」を Zoom オンラインで参加聴講した。
未来世代からの活動報告(4者)と働き世代からの企業紹介(3者)が、南村多津恵さん(くうのるくらすの創造舎 主宰)と村上 悟さん((特非)碧いびわ湖 代表理事・SGN 理事)のおふたりのコーディネーターにより進行された。
滋賀県は、2050年 CO2ネットゼロを宣言しているが、その道のりは容易ではない。
7人の発表を聴いて感じたことは、皆さんが目標達成に向かって、意欲を持って着実に取り組んでおられる姿が印象に残ったことである。
Z 世代と呼ばれる人たちが、2030年、2050年という時代に社会の中心を担う世代 であり、その世代の行動様式や価値観が日本の、地球の未来を決めるのであるから、聞き耳を立てて、彼らの意見は傾聴しなければならない。事業経営という視点からいうならば、彼らが未来のマーケットのあり方を決めるともいえる。「生産は消費(者)が決める」のであって、ひと昔前にいわれていたように「生産が自分の都合でつくったものを宣伝で消費(者)に押し付ける」という時代は、もう過去のものとなった、あるいは過去のものになるに違いないのである。エシカル消費という消費のあり方は新しい考え方であるが、遠からず支配的になるであろう。
未来世代の活動に耳を傾けよう。
豊田真彩さん(立命館大学 3 回生&(一社)インパクトラボ 理事)はコロナ禍で大学がオンライン学習になったのをきっかけに、一年間休学し「ネタ探し・自分探し」を始めた。かねて関わっていた SDGs の取り組みを若い世代に結び付けてソーシャルインパクトを生み出す仕組みづくりを推進している(インパクトラボ)。SDGs とツーリズムとを掛け合わせて、体験から得た価値観を行動変容につなげる実践活動をしている。素晴らしい展開だと思う。
実は私は、立命館大学などの学生さんが立ち上げられた Sustainable Week 実行委員会のイベントに参加して SDGs への関心を高めたという経緯がある。
二番目の玉崎 蕗さんは、Fridays For Future Shiga という環境活動団体のスタッフで、校則や時間にしばられる学校よりももっと自由に自然の中でのびのびと育つ道を選び、ヨーロッパを中心に2年間の旅をしている。その体験から社会や環境に関心を持ち、気候変動への取り組みや里山フリースクールの活動に携わっているという。Fridays For Future(未来のための金曜日)は、グレタ・トゥーンベリさんが提唱し世界的な共感を呼んでいる活動であるが、玉崎さんの団体も滋賀県知事との対話で「2030年温室効果ガス削減目標60%以上」を要望している。
ここまでおふたりの活動報告を聞いて、自分の体験を社会的な取り組みへと展開させている視野の広さが感じられて素晴らしいと思った。
三番手の内田修次さんは4人の発表者の中で唯一の男性であった。農業は環境破壊の恐れが大きい産業であるが、食を支える農業のあり方は、未来の人間生活と地球環境に直結する重要な問題であるのだ。内田さんは、くさつ Farmers’Market の立ち上げによって、この重要な問題の解決策を理屈ではなく実践活動を通じて、一つの回答を示された。私事であるが生ごみ堆肥を活用した野菜栽培を促進する市民農園を運営した体験の持ち主として、野菜等の販売市の取り組みの苦労が分かる。それをスタートアップ事業に育てていこうという覚悟と熱意には頭が下がる。
日常生活の延長線上という身近なマーケットから出会いの文化が生まれ、地域コミュニティが醸成されて、「マーケットでまちが変わる」という一連の流れは、これからの社会づくりの本命といえる。おおいに成長していってほしい。
寳田 萌花さんの「食べられるメモ帳 kamihime」には正直驚いた。まさか羊ではあるまいし、というのが実感であった。会社の企画チーム「Frau」というのは女性チームなのだろうが、「日常を少し便利に、かわいく彩る」というコンセプトでの商品開発は楽しそうでもある。SNS で声を集めるというのも現代版(いまはそれが普通なのかも)である。可食紙や可食ペンを使っての実験を経て商品化まで進められた努力は人並みを越えている。「共感」の大切さを学び取ったようであるが、商品が売れるということは生産者と消費者が共感したときなのであるから、この学びは商売の本質を捉えたということなのであろう。
以上4人の活動報告を聞かせてもらって、未来世代が考える「持続可能性×仕事」とは何なのか、を教えていただいた。この報告を通じて「自由・体験・自然・共感」がキーワードであり、それが本当の「豊かさ」につながっていくのだということを改めて知った。
さて次は、働き世代からの企業紹介である。企業活動の第一線で「持続可能性」と取り組んでおられる姿が浮き彫りになる。
最初は滋賀銀行の嶋﨑 良伸さん(サステナブル戦略室 室長)で、「SDGs 銀行」を標榜されている同行の SDGs 戦略が紹介された。私の学生時代就職の人気番付のトップは(事務系の場合)銀行・商社であった。私は身体が丈夫でなかったから指導教官から「君はメーカーへ行け、銀行・商社に就職したら死んでしまう」といわれたくらい、銀行・商社は激務であったが、なぜ人気があったかといえば、日本の国づくりができる業種だからであった。
嶋崎さんのお話を聞いて、今またそういう時代が来たのだと思った。しかし時代が求めるものは変わった。持続可能性を優先し社会や環境のために貢献しようという企業の資金調達に力を貸しそのような企業の成長を支援することが重要な時代を迎えているのである。
同行ではサステナビリティ経営、グリーン経営を目指す企業を支援する新商品を開発しSDGs や ESG に取り組む企業のコンサルティングを行ない、環境省が推進する「地域循環共生圏」づくりに寄与しようと考えておられる。その功績が認められてこれまでに幾度もESG ファイナンスアワードジャパンを受賞し、SDGsアワード 特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞(2018 年)しておられる。嶋崎さんのお話を聞くのは二度目であるが、改めて地域にこのような金融機関があることは地域企業の持続可能性に大きな力になると思った。
働く世代の二番目は、たねやグループ経営本部リーダーの木田 幸司さんであった。たねやさんは滋賀の人ならだれでも知っているというくらい名の通ったお菓子の製造販売企業で、明治5年創業の老舗である。近江の老舗らしく3つの経営理念がある。よくいわれる「三方よし」と同じような趣旨だが、「天秤道・黄熟行・商魂」とある。さて黄熟行とは何なのだろうか。これは初めて聞いた。「黄熟行」とは「黄熟実」(あきのみ)から来た言葉らしく「黄熟」とは草木の実が熟して黄色くなる様をいう。「大自然の恵みを写し創ることこそ無上の倖せなり この倖せをお客さまに届けることが商人の天命なり」とたねやさんの言い伝えにあるという。
木田さんから同社の取り組みを SDGs 面と環境面の二つに分けて説明があった。SDGs面では女性を大切にしている企業であることが分かった(女性社員が7割を占め、女性管理職の比率が49%と高い)。環境面では食品リサイクル法・容器包装リサイクル法・廃棄物処理法などの順守精神は強く、食品残さの減量・リサイクルへの取り組みでも優れた実績を残しておられる。そして私も幾度かお店の商品を買わせていただいたが味がよい。
SDGs や環境への取り組みの情熱が食品の味に表れているのであろう。最後にサーキュラーエコノミーへの取り組みを今後の課題としてあげておられる。この面でも先進的な企業になられることを期待したい。
働き世代最後の報告者は、コクヨ工業滋賀 開発グループ 次長の岡田 佳美さんからであった。同社が提唱する「REEDEN」という取り組みは、びわ湖の環境保全に ReeD(ヨシ)の働きを存分に生かして、滋賀県民の生活と不可分なびわ湖の環境を守り、もってびわ湖を囲む自然環境をみんなのふるさと EDEN(楽園)として、人と自然の共生を目指そうという活動である。エシカル文具「リエデンシリーズ」はこの精神から生まれたもので同社の商品の原材料である紙資源・インキ・糊廃液の省資源・リサイクルにつながっている。これらの功績が評価されて、環境省・経産省・文科省さらに民間の環境財団から多くの受賞の実績がある。私もノート類をはじめとして、数々の文具・紙製品を使ってきた。でもこれまでの環境意識はまだまだ希薄であったと反省した。
ここまで、未来世代・働き世代の「仕事」を通じて見た「持続可能性」についてお聞きした。総合して見ると、全体として今の時代を存分に表現していると思った。それは来るべき CO2ネットゼロの時代を築く事業経営につながっていくであろうと思う。よい学習をさせていただいた。感謝の気持ちである。
最後に私が近頃思うことを書いておこう。経済成長の度合いを示す指標に GDP が使われている。確かに GDP は世界の国々の経済の状況を比較するのに便利な指標であるが、それは国の「豊かさ」を表わすものではない。例えば戦争に使われる武器を製造したとしても GDP は増える。だから GDP の多寡をもって「豊かさ」を表現することはできない。もうそろそろ GDP 議論は卒業してほしい。経済は本来「豊かさ」や「喜び」を増やすべき活動であるのだから、同じ資本主義でも SDGs や ESG に重きを置いた事業経営がもたらす成果を表現できるプラスサム資本主義に目を向けていってほしいものである。
今日のセミナーで聴いた話は、その道を切り開いていく確かな手ごたえであったように思う。
投稿者 森口行雄